2022.6.10 UP
国内初の遅発性ジスキネジア治療薬「ジスバル」(一般名バルベナジン)がようやく6月1日に田辺三菱製薬から発売され、患者さんが利用できる状況になりました。遅発性ジスキネジアは進行すると難治化しやすく、改善効果を保証できる決定的な治療薬がこれまで存在しなかったため、この新薬に期待をかける方は全国に大勢いらっしゃると思われます。
ジスバルの添付文書は、以下のPMDA検索ページに「ジスバル」と入力してEnterキーを押すとご覧になれます。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/(一般患者向けに簡略に記した「患者向医薬品ガイド」、治験結果の詳細まで記した薬剤師向けの「インタビューフォーム」も参照できます。)
以下の日経メディカルの記事も参考になります。
https://medical.nikkeibp.co.jp/.../update/202205/575179.html
記事にも記されているように、様々な副作用の可能性がある点には十分注意する必要があります。また、循環器系の禁忌や服用上の注意事項にも留意してください。
遅発性「ジストニア」の場合は適応にならないか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。ジストニアには本来、姿勢異常のみならず運動性のある症状(一定の筋収縮パターンが断続的に起きるため体の一部がユラユラ揺れるなど)も含まれ、実際には遅発性ジスキネジアとの区別が曖昧になっている面があります。また、遅発性ジスキネジアと遅発性ジストニアの間に薬理的な発症機序の違いが明らかになっているわけでもありません。そのため、医師の判断で処方される可能性もあるかと思われます。
他方で、副作用リスクや禁忌、過敏症などとの関連から、遅発性ジスキネジアの診断であっても特定の患者さんに対して医師が処方を見合わせる場合も考えられます。効果を維持するには飲み続けなければならない点も、併せて考慮する必要があるでしょう。
こうした点に留意してもなお、改善効果のベネフィットが上回る患者さんは一定の割合でいらっしゃるものと推測します。
救われる患者さんが少しでも多いことを願います。