◆厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存」に改定要望書を提出しました。

2022.11.15up   ベンゾジアゼピン受容体作動薬(ベンゾ)は睡眠薬・抗不安薬・鎮静剤として、またてんかん・頭痛・めまいなど幅広い症状に対して使用されてきた薬で、日本人の十数人に一人が服用していると言われます。ジストニア・ジスキネジアを含む神経筋症状の治療薬としても使われています。

その一方で、ベンゾは24週間を超える連用により身体依存を形成しやすく、いったん依存形成すると急な減断薬により様々な離脱症状を発症する恐れがあります。ジストニア・ジスキネジア様の神経筋症状もその一つであり、ベンゾはジスの原因薬にも治療薬にもなりえます。ベンゾのこうしたリスクは西欧などでは早くから指摘され、1980年代から規制が進んだ国もあります。

それに対し、日本では最近まで多くの医師がリスクを軽視し、患者に対して「長年飲み続けても安全な薬」などと説明してきたため、気づいた時には薬を減らせなくなっていた患者さんや、依存していることを知らずに飲み続けている人、自己判断での減断薬や飲み忘れ等により心身に不調を来しているのに原因が分からず苦しんでいる人など、様々な状態の人がいると思われます。

依存・離脱症状の程度は個人差が大きく、全体としては皆無から軽症で済む人が多いですが、2030%の人が離脱で苦労し、そのうち3割が悲惨な経験をすると、ある研究者は述べています。適切な対応が遅れたため辛い離脱症状に長期間苦しむことになった方々は全国では相当な数に上ると予想され、当会の会員さんでも外部の関係者からもそのようなケースを見聞きします。

国は2017年に添付文書への依存・離脱症状の記載を命じるなど一定の対応策は講じましたが、まだ現在は改善に向けた過渡期にあり、問題は積み残されています。適切なインフォームドコンセントはまだほとんど普及していないと思われます。
患者個々人に合わせた慎重な減断薬を遂行できる医師・医療機関も限られており、離脱症状や後遺症を抱えて行き暮れている方々も多いでしょう。

そんななか、厚生労働省は今年2月、重篤副作用疾患別対応マニュアル「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存」を公表しましたが、その内容はきわめて不十分なものでした。そこで当会はこのたび関係者に呼びかけて、同マニュアルの改定を求める要望書と参考資料を作成し、1110日に同省の医薬安全対策課に提出しました。後日面談も行う予定です。

状況改善に向けた一助となるよう最善を尽くしたいと思います。

「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存」全文は以下で参照できます。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j27.pdf

同マニュアルの改定を求める要望書
https://drive.google.com/file/d/1ItHwFTnynk82MHgR99_yiUe6pjGdnm8Q/view?usp=share_link

参考資料(参考資料25は個人情報保護の観点から削除しています。そのため目次のページ数は実際とズレています。)
https://drive.google.com/file/d/1liu0hwpAHbV9FQPnsrCUsyyrXeDCvTpj/view?usp=share_link